三井記念美術館 国宝 雪松図と花鳥 -美術館でバードウォッチング-

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<期間>  2018年2月4日まで

<エリア> 東京都 日本橋 神田
<施設名> 三井記念美術館
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<感想>

三井記念美術館で、「国宝 雪松図と花鳥 -美術館でバードウォッチング-」を鑑賞しました。

三井記念美術館で鑑賞するのは久しぶり。
当ブログを開設してからは、初めての鑑賞となりました。

東京日本橋室町の、三井本館にある美術館。
本館入口左手、冒頭の写真の階段をのぼり、レトロなエレベーターで7階にあがると、美術館の入口があります。

江戸時代以来300年に渡り、三井家が収集・所有してきた作品を展示している三井記念美術館。

お正月を控えているということもあり、所有作品の中でも特に有名な国宝「雪松図屏風」(円山応挙)を中心とした、展示会名になっています。
ただし「雪松図屏風」は、年明け1月4日からの展示。
今回は、展示会名にも付記されている”鳥”を題材にした作品の数々を、鑑賞しました。

序盤の展示室1,2では、細かくショーケースに区切られて、茶道具が展示されています。
展示品の中には、樂家3代道入作の赤樂茶碗、南宋時代の鸞天目という、2つの重要文化財も含まれています。
さらに、茶室を再現した展示室3では、さりげなく、国宝の志野茶碗が展示されています。

大型の絵画を展示している展示室4には、室町時代に製作された重要文化財「日月松鶴図屏風」(展示は12月27日まで)。
さまざまな角度から描かれた鶴と、四季の花を配した六曲一双の屏風。
二次元の世界の中に、物語を感じました。

後半の展示の中で印象に残ったのは、最終展示室7で鑑賞した、「蓬莱山・竹鶏図」(円山応挙)。
三幅の掛け軸で構成された作品群なのですが、左右に配された鶏の絵の鮮やかさに、目を奪われました。


鳥というテーマで作品をそろえた展示会を鑑賞するのは、今回が初めてだと思います。

可愛らしさや癒しの象徴として、鳥は日本人に愛されてきたのだなあと、感じました。
風景や草木を題材にした作品のアクセントとして、また、”吉兆”のシンボルとして、作品に鳥が取り入れられているというのも、印象に残りました。

江戸時代から続く大商家が、どのような品物を好み、集めてきたのか。
江戸から現代にかけての、文化の香りを、味わわせてもらいました。

「国宝 雪松図と花鳥 -美術館でバードウォッチング-」は、2018年2月4日までの展示が、予定されています。

東京国立近代美術館 熊谷守一 生きるよろこび

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<期間>  2018年3月21日まで

<エリア> 東京都 竹橋
<施設名> 東京国立近代美術館
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<感想>

東京国立近代美術館で開催中の、「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」を鑑賞しました。
近代美術館で鑑賞するのは、10月以来で約2カ月ぶり。

明治から昭和にかけて活動した画家、熊谷守一の特集展示。

1900年代から1970年代までという、長い年月に渡り活動した熊谷の作品が、年代ごとに区切られて展示されています。

序盤の展示では、若い頃の熊谷が、暗闇の中で人体や物体がどのように見えるか、模索していた様子がうかがえます。
そして経験を積み重ねていくにつれて、描写的な表現から荒々しいタッチへ、色彩もより明るい方向へと変化していきます。

さらに年を経ると、モチーフは抽象化され、画面全体も二次元的になってきます。
その変化の過程でも、どの色とどの色を組み合わせれば色がひきたつのかを考え、ポイントとなる部分に鑑賞者の印象が残るように工夫していったことが、作品とその説明によって理解することができました。
アンリ・マティスなど、欧州画家の作品との関連についての説明も、興味深く読ませていただきました。

同じ被写体を複数のバージョンで描く、年月を経てからまた描くといったことも繰り返されていて、研究熱心な画家だったのだなあと、受け取りました。

晩年は自宅にとどまり、動物や草木を題材にした作品を描いていたとのこと。

お土産ポストカードは、その時代の作品「鬼百合に揚羽蝶」を選んでみました。
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企画展の鑑賞でじゅうぶん”お腹いっぱい”になったのですが、常設展も鑑賞しました。

4階の「眺めのよい部屋」からは、皇居のお濠ごしに東京タワーを眺めることができます。
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企画展「没後40年 熊谷守一 生きるよろこび」は、2018年3月21日までの展示が予定されています。





『若冲』

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美術関連の書籍の、感想です。
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 題名: 『若冲』
 著者: 澤田瞳子
 出版社:文藝春秋
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<感想>
生誕300年を記念して開催された展示会が、数時間待ちの大盛況となり話題になった、伊藤若冲。
書店巡りをしていたところ、この絵師の名前そのものが題名になっている小説が文庫化されていたので、電子書籍版で読んでみることにしました。
舞台は、江戸時代中ばの京都。
若冲が40歳の頃から、物語が始まります。
大店の長男として生まれた若冲。
しかし商売は弟たちに任せて、長年、絵を描く日々を過ごしています。
一見めぐまれた環境にいる若冲ですが、娶った妻を亡くすという、暗い過去を背負っています。
そのような過去と向き合い、絵の世界に没入する若冲。
しかし大店であるからこその、兄弟親戚やライバル店との諍いが、次から次へと起こります。
当時の京都で一流として認められていたのは、風景や草花などの、美しさを強調した絵。
題材のリアルな面も描写する若冲の絵は、”奇抜な絵”とされますが、しだいに高い人気を得ていきます。
身に降りかかる騒動に対峙しながら、自らと向き合い絵を描く、そんな若冲の85年に渡る生涯が描かれています。
家族構成などは、通説とは異なる設定で書かれているようです。
そのため読む人によって、評価が分かれているようですが、「芸術を極めるとはどういうことか」について、ひとつの切り口を提示してもらえたなと感じました。
同時代に活躍した池大雅、与謝蕪村、円山応挙、谷文晁、といった画家たちも登場し、日本画鑑賞が好きな自分は、興味深く読み進めることができました。
まだ美術学校が無いこの時代に、画家と呼ばれる人たちがどのように自らの芸を磨いていたのか。
当時の空気を嗅がせてもらったような感覚にもなりました。
時代小説好きの人、芸術に興味がある人、人間模様を描いた作品が好きな人・・・さまざまな読者に響く部分のある作品だと思います。

<チェックマーク>
今はどれだけ美しくとも、現実の草木や鳥獣は必ずいずれは老い朽ち、腐り果てる。源左衛門の絵には、そんな生命の末路まで思い知らせるような、容赦のない激しさが含まれていたのである。

若冲の絵は、若冲と君圭、二人の男の長年の相剋がなければ生まれ得なかったものだ。

美しいがゆえに醜く、醜いがゆえに美しい、そないな人の心によう似てますのや。

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画像はAmazonから引用。